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対応言語はAI英会話でどこまで揃っているのか。機能ごとに使える言語が違う理由を公式仕様から分解した

「このAI英会話は何か国語に対応しているのか」という問いは、そのままでは答えが出ない。

対応言語という1つの数字が存在しないからだ。

AI英会話の中身は、音声認識・言語モデル・音声合成・発音採点といった別々の部品でできている。

その部品を売っている会社の開発者向けドキュメントを開くと、機能ごとに別の言語表が用意されているのが分かる。

認識はできるのに発音の採点はできない言語がある。採点はできるのに抑揚の点数だけ出ない言語がある。認識はできるのに読み上げる声が1つも用意されていない言語もある。

この記事では、その表を実際に開いて行を数え、どこで数が落ちるのかを1つずつ確かめていく。

サービスの順位づけはしない。

仕組みの話だけをする。

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【結論】AI英会話の対応言語は、機能ごとに別々に数えるしかない

先に答えを置く。

グーグルの Cloud Speech-to-Text V2 supported languages を開いて、表に出てくる言語コード(BCP-47)を重複なしで数えると170個ある。

ところがこの表は、言語ごとに「どの機能の欄に印が付いているか」が違う。

印が付いている言語コードを機能ごとに数え直すと、こうなる。

機能の欄印が付いている言語コードの数
Profanity filter(不適切語のマスク)170
Automatic punctuation(句読点の自動付与)164
Model adaptation(語彙の補強)164
Word-level confidence(単語ごとの信頼度)161
Spoken punctuation(「カンマ」と言うと記号になる)53
Speaker diarization(話者の切り分け)14
Spoken emoji(「スマイル」と言うと絵文字になる)12

⇒ 同じ1枚の表の中で、上から下まで170対応の機能と、12言語しか対応していない機能が同居している。

だから「対応言語は何か国語か」には答えが1つしかないのではなく、「どの機能の対応言語か」を先に決めないと数えられない。

以下、どこで数が落ちるかを順に見ていく。

AI英会話の対応言語①|同じ表の中でも、機能の欄によって数が10分の1以下になる

いちばん落差が大きいのは話者の切り分けと絵文字の書き取りだ。

Speaker diarization(誰が話したかを分ける機能)の欄に印が付いている言語コードは、数えると14個しかない。

  • その14個=cmn-Hans-CN de-DE en-GB en-IN en-US es-ES es-US fr-CA fr-FR hi-IN it-IT ja-JP ko-KR pt-BR。
  • Spoken emoji の12個は、さらに偏っている=英語9ロケールとフランス語3ロケールだけ(en-AU en-GB en-HK en-IE en-IN en-NZ en-PK en-SG en-US fr-BE fr-CH fr-FR)。
  • Word-level confidence が付いていない言語コードは9個あり、その中に en-PH(フィリピン英語)が入っている。

ここで注意したいのは、落ちているのが「マイナー言語だから」ではないことだ。

英語の中でも、フィリピン英語には単語ごとの信頼度の印が付いていない。

同じ「英語対応」でも、裏で取れる情報の量がロケールによって違うということだ。

AI英会話の対応言語②|認識モデルを切り替えると、使える言語がごっそり入れ替わる

同じ表には「どの認識モデルで使えるか」も書かれていて、ここでも数が変わる。

公式ドキュメントはこの表を「言語ごとに使えるモデルの一覧」と位置づけており、言語とモデルは掛け算の関係になっている。

モデルごとに言語コードを数えると、次のようになった。

モデル名対応している言語コードの数
chirp_2117
chirp_3112
chirp103
long63
short63
telephony44
telephony_short44
chirp_telephony10
medical_conversation1
medical_dictation1

新しい世代のモデルほど対応言語が多く、電話向けのモデルほど少ない。

そして医療向けの2モデルは、表の中で1言語にしか印が付いていない。

アプリ側が「精度のために電話向けモデルを使う」といった選択をした瞬間に、使える言語の母集合がその場で44まで縮む。

利用者から見ると、これは「言語設定のプルダウンに出てくる項目が、アプリによって違う」という形で現れる。

AI英会話の対応言語③|サーバーの置き場所(リージョン)でも数が変わる

同じ表の左端には、機能でもモデルでもなく「場所」の列がある。

この列は asia-northeast1 や eu といったリージョン名で、行はリージョンごとに分かれている(同じ表は Cloud Speech-to-Text のサポート言語ページとしても公開されている)。

リージョンごとに言語コードを数えると、こうなった。

リージョン言語コードの数
eu145
us145
asia-southeast1117
europe-west4117
us-central1117
global91
asia-south11(en-US の行だけ)

データを置く場所を変えただけで、使える言語が半分以下になることがある。

公式ドキュメントは同時に、ここに載っている言語コード以外は指定するなとも念を押しており、表に無いコードを送ると壊れる可能性があると明記している。

⇒ 対応言語は、機能・モデル・場所の3つの掛け算で決まる。

AI英会話の対応言語④|認識は148ロケール、発音採点は33ロケール(マイクロソフトの場合)

別の会社の表を開くと、落差はもっとはっきり見える。

マイクロソフトの Azure Speech の言語と音声のサポート は、機能ごとに表が分かれている。

音声テキスト変換の「音声テキストロケール」の表に並んでいるロケールを数えると148個あり、そのうち英語は15ロケールだった。

一方で発音評価の節には、公式ドキュメント自身が数を書いている。

「このセクションの表は、発音評価でサポートされている 33 のロケールをまとめたものです」と明記されている。

機能ロケールの数英語のロケール
音声テキスト変換(認識)14815
テキスト読み上げ(声)14814
発音評価(採点)335
カスタム キーワード(呼びかけ語)表は4ロケール1(en-US)

発音評価の33ロケールに入っている英語は en-AU en-CA en-IN en-GB en-US の5つで、既定の言語は en-US だと書かれている。

⇒ 「認識できる」と「採点できる」は別の表で、後者は前者の4分の1以下しかない。

AI英会話の対応言語⑤|発音採点の中身も、項目ごとに対応言語が違う

33ロケールに入っていれば全部同じように採点される、というわけでもない。

発音評価を使用するのドキュメントには、採点項目ごとの制限が書かれている。

  • 「プロソディ評価は、en-US ロケールでのみ利用可能です」=抑揚・リズム・話す速さの点数は米国英語だけ。
  • 結果の粒度は「音素レベル、音節レベル(en-US のみ)単語レベル、全文レベル」=音節単位の内訳も米国英語だけ。
  • 音素の名前をどの表記体系で返すかも分かれており、IPA で出せるのは en-US のみ、SAPI なら en-US と zh-CN の2つだけ=音素の名前の出し方も言語で違う。

つまり同じ発音採点でも、イギリス英語を選んだ時点で返ってくる項目が減る。

アプリの画面上は同じ「発音スコア」に見えても、裏で計算に入っている材料が違うということだ。

採点が国によって厳しい・甘いと感じるとき、原因が体感ではなく仕様の側にあることがある。

AI英会話の対応言語⑥|認識はできるのに、読み上げる声が用意されていない言語がある

入口(聞き取り)と出口(読み上げ)で対応言語がずれる例が、同じページの中にある。

テキスト読み上げの音声表に並んでいる音声名(…Neural で終わるもの)を重複なしで数えると553個あり、そのロケールは148種類だった。

英語の声だけで125個あり、ロケールは14種類だ。

ところが認識側の英語は15ロケールある。1つ多い。

その差分が en-GH(英語・ガーナ)で、このページ内で en-GH が出てくるのは音声テキスト変換の表・カスタム音声の表・言語識別の表の3か所だけであり、読み上げの音声表には現れない。

⇒ ガーナ英語は「聞き取ってもらえるが、その訛りで話し返してはもらえない」側に置かれている。

AI英会話でお手本の音を選ぶとき、選択肢の数がこの表の形にそのまま縛られる。

AI英会話の対応言語⑦|「自動で言語を判定する」機能には、数の上限がある

対応言語が多くても、同時に候補として並べられる数は別の話だ。

グーグルの Automatically detect language は、自動の言語判定に並べられる候補を最大3言語までと定めている。

しかも同じページには2つの但し書きが付いている。

  • 複数言語の指定を受け付ける場所は3か所だけ=global リージョンと、us・eu のマルチリージョン。使える場所が3つに限られる。
  • 候補言語を足せるモデルも long・short・telephony の3つに限られる=いちばん対応言語が多い chirp 系では使えない。
  • 推奨としても、候補の並びは必要な分だけに絞れとされている=候補は少ないほど当たりやすい。

マイクロソフト側は上限の数字が違う。

言語識別のドキュメントによれば、会話の入口で1回だけ判定する LID は候補が4言語まで、会話の途中でも判定し直す継続的な LID は10言語までが上限だ。

やり方同時に並べられる候補の数使える場所・モデルの条件
グーグル(複数言語の指定)最大3global us eu のみ/long short telephony のみ
マイクロソフト(開始時点のLID)最大4同じ言語のロケールを複数入れない
マイクロソフト(継続的LID)最大10同上

マイクロソフト側には「候補リストには、同じ言語のロケールを複数含めないでください」という注意も書かれている。

⇒ 「170言語対応」と「一度に3つまで」は矛盾しない。母集合の話と、1回の会話で並べられる数の話だからだ。

AI英会話の対応言語⑧|翻訳と字幕になると、また別の表に切り替わる

同じ会社の中でも、翻訳は認識とは別の数え方をしている。

音声翻訳の節は、読み上げ側と認識側の両方から言語を引いてくる仕組みだと説明したうえで、選べる翻訳先は出力が音声かテキストかで変わるとしている。

翻訳先のテキスト言語の表に並ぶ言語コードを数えると89個あった。

翻訳元については、認識の表を流用すると明記されている。

翻訳元として使えるのは、jv-ID と wuu-CN を除くすべての言語だ。

認識できる148ロケールから、2つだけ引いた形になっている。

そして翻訳先は、ロケールではなく言語コードで指定する(スペイン語なら es-ES ではなく es)。

⇒ 入口はロケール単位、出口は言語単位。字幕の訳がどの国の言い回しになるかを選べないのは、この粒度の差から来ている。

AI英会話の対応言語を自分で確かめるときの手順

表が機能ごとに分かれている以上、確認も機能ごとにやるしかない。

  • まず自分が使いたい機能を1つに決める(聞き取りか、発音採点か、読み上げか、翻訳か)。
  • その機能の表を開き、言語ではなくロケール(en-GB のような形)で探す。国が違えば別行だからだ。
  • 行が見つかったら、同じ行の機能の欄に印が付いているかを見る。行があることと、機能が使えることは別だ。
  • アプリ側で「自動判定」を使うなら、候補の上限(3・4・10)と、使えるモデルの条件を確認する。
  • 表には更新日が入っている。グーグルのページの末尾には「Last updated 2026-09-16 UTC.」と記載がある。

ここまで見れば、アプリの紹介文にある「対応言語は何か国語」という表示が、どれか1つの表から取った数字にすぎないことが分かる。

その数字が認識の表から取られていた場合、発音採点まで同じ数だけ使えるとは限らない。

AI英会話の対応言語|よくある質問

Q. 日本語で話しかけても認識されるのはなぜか。 A. ja-JP は認識の表にも、話者の切り分けが使える14個の中にも入っている。日本語は主要機能がひととおり揃っている側のロケールだ。

Q. イギリス英語で発音採点を受けたいが、項目が少ない気がする。 A. 発音評価の33ロケールに en-GB は入っている。

ただしプロソディ評価と音節レベルの内訳は en-US のみと明記されているので、返ってくる項目そのものが違う。

Q. 「170言語対応」と書いてあるのに、アプリの言語設定に少ししか出てこない。 A. 対応言語はモデルと場所の掛け算で決まる。

たとえば telephony 系のモデルなら表の上では44コード、global リージョンなら91コードまで縮む。

Q. 英語とフランス語を混ぜて話したい。 A. グーグル側は候補を最大3つまで並べられるが、使えるリージョンとモデルが限定される。

マイクロソフト側は開始時点で最大4つ、継続的な判定なら最大10までと書かれている。

Q. 自分の訛りに近いロケールを選んだほうがいいのか。 A. 発音評価のドキュメントは、学習中の言語をロケールで指定するよう求めており、広い言語では複数のアクセントモデル(例として es-ES と es-MX)を試して決める方法を挙げている。

まとめ|AI英会話の対応言語は「数」ではなく「どの表の数か」で読む

もう一度整理する。

  • グーグルの認識の表には170個の言語コードが並ぶが、機能の欄ごとに数えると170・164・161・53・14・12とばらける。
  • 同じ表の中でもモデルで117〜44、リージョンで145〜91まで振れる。対応言語は機能・モデル・場所の掛け算だ。
  • マイクロソフトは認識148ロケールに対し、発音評価は公式表記で33ロケール。採点は認識の4分の1以下しか対応していない。
  • 採点の中でもプロソディ評価と音節レベルは en-US のみ。同じ発音スコアでも中身が違う。
  • 認識できるのに読み上げの声が無いロケール(en-GH)が実在する。入口と出口の対応言語は一致しない。

⇒ 「何か国語に対応しているか」ではなく、「自分が使う機能の表に、自分のロケールの行があるか」で見る。

そこが合っていれば、対応言語の数そのものは気にしなくていい。

※本記事の一次ソースは、各公式ドキュメントを2026-09-16および2026-09-18に取得した生テキストで確認した。

仕様は更新されるため、最新は各公式ドキュメントで確認してほしい。

どの言語で話したかを機械が決める仕組みを知りたい人向けの記事です。

言語の自動判定まで分解した記事

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